ぼくは振りかえる。ほんの少し右側に寄った鉢植えがまだ揺れている。そらきた、もうたくさんだ。怖くなんかない。とにかく頭に来る。ずうずうしいやつだ。ペンだ。ペン。で、は書く。
「うろちょろしやがって。おれの家でなにしてやがる。さっさと出て行きやがれ。さもないと・・・」
さあ、これで落ちつく。この紙を動かしてもらおうじゃないか。そうすればあいつも気がつくだろう。さて、今度はぼくの目には届かないけど、あいつならきっと見るような暗い部屋の隅を探せばいいだけだ。食器棚の上、それとも裏側がいいかな。面倒だけどこの奥のほうに入れてしまおうか。そんなことできるかな。
待って、何かある。ほこりまみれの紙きれだ。
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